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zoom RSS 本「ドキュメント太平洋戦争全史」

<<   作成日時 : 2015/08/14 22:03   >>

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元々昭和史に興味が強く、太平洋戦争関係を調べ出したのは中学生の頃。その頃はまだ戦後40年にも届いていない頃だし、存命の方も多く、夏休みの「終戦記念特集」にはそういう方が出てきて話をしてたのが多かった気がします。

その頃、本屋さんに行くと

本「知恵の戦い」(2015/06/08)

で紹介した朝日ソノラマのソノラマ文庫戦史シリーズが発刊されて、文庫の新刊コーナーに続々と出てきていたし、


若手エリートたちを集めて設立された「総力戦研究所」というところが、彼我の総合国力を比較検討して、数字の上から日米戦必敗の結論を導き出したという事実を掘り起こした「昭和16年 夏の敗戦」がやはり文庫で並び、

別の場所には、

本「同日同刻」(2006/12/07)

が単行本で置かれていて私に衝撃を与えたことも。


さらに、日米の戦争関係者500人へのインタビューという膨大な労力が費やされ、今や太平洋戦争史に関する古典の一つとなっている(長年絶版だったが、戦後70年を機に今年復刻された)

5巻シリーズの「大日本帝国の興亡」が発刊されていて、出る度に買って塾に行く電車の中とかで読んでいました。ここに並べた本はその後全部絶版になり、20年くらいの時を経てやっと復刻版が出てきている、というのが時代を感じます。


で、上に挙げたような「太平洋戦争についての網羅的な本」群が姿を消していて、「あの戦争って結局どんな経緯で何が起きてたの?」という本があまり無い時代に、書かれたのがこの本です。


「太平洋戦争全史」ではありますが、ページ数にして「大日本帝国の興亡」の1/3程度ですし、残念ながら、全ての作戦が同程度に記載されているわけではなく、

対米交渉最終盤の様子−真珠湾(ちょっとだけ)−緒戦の東南アジア攻略−インド方面への進出と南方作戦−ミッドウェーの戦いーソロモン海とガダルカナル島での陸海軍の消耗−ラバウル(太平洋の制空権の喪失)−マリアナ(空母部隊の壊滅)−レイテ(海軍の組織的戦闘力の喪失)、戦艦大和の特攻作戦を経て終戦という、「枝葉は切ったか」といったイメージ、


中国戦線は全く出てこない(そもそもインドにまで出かけているのは中国への補給ルート遮断という目的があるはずなのに)し、
沖縄戦も海空の特攻隊の話が陸上戦の話はほとんどなく、
陸軍の戦いぶりは初期のフィリピンからシンガポール、ビルマ戦線に至る戦いとガダルカナルで紙幅を割いたところで割り当てが尽きたのか、ガダルカナル失陥後の南洋諸島〜沖縄で続く玉砕戦の多くは飛ばされている。

まぁ、「実は1945年8月15日をもって戦闘は終わっていない」ことを意味する樺太・占冠の戦闘や満蒙部隊の話は大抵の本に載っていないように、この本にも載っていないのは残念だけど仕方がない(この手の本の最後は「終戦の詔勅」でないと締まらないというのが共通認識なんだろうか?)とは思うけど。


ただ、日本はアメリカと開戦してから後のほとんどの期間を「負けている」ので、相当気合を入れないと「大日本帝国の興亡」は読めないのも事実。なにせ5巻のうち、「興」なのは1巻だけで、残り4巻はひたすら「亡」。いくら過去の戦争がどんなものだったかを知っておくことが大事でも、そんなものを多くの人が最後まで読み通せるわけがない。その意味では、転換点に絞ったこの「全史」はとっつきやすいかもしれません。


あと、「大日本帝国の興亡」や米軍側太平洋戦史である、

本「太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで」(2013/09/24)

と違って「歴史書」ではなく「ドキュメント」であるとおり、この「全史」には作者の「何でこうなった、どうしてこんなことに」の視点が少々濃いめに現れており、

一つは、アメリカ艦隊との洋上一大決戦を志向し、「漸減邀撃作戦(アメリカ艦隊が日本にやってくるのに合わせて日本艦隊をぶつけて削って行き、最後に戦艦同士で撃ち合って決着をつける)」の準備を営々としていたはずの帝国海軍が、なんで「真珠湾攻撃」などの投機性の高い航空作戦をやって、戦争のやり方を変えてしまったのか、

もう一つは、戦争の目的に「対日輸出禁止措置に伴い資源獲得が出来なくなった日本が自給自足できるようにするために資源地帯を確保する」があるのに、帝国陸海軍が共に「補給線を確保し、必要な物を必要な場所へ届ける体制の整備」を全く軽視したのはなぜか、

というポイントを考えるためにこの本を書いたのかな、と思わせる記述がいくつか。


その考察のために、双方に大勢の将官がいる中、わざわざ山本五十六の人物の背後・思考を検討する一章があるのと、

下巻の冒頭で、ガダルカナル撤退後に近くで起きたダンピール海峡の悲劇(輸送船団が護衛駆逐艦多数とともに空襲でほぼ全滅した「事件」)が詳述され、

海軍組織としての「連合艦隊(敵と決戦するための兵力)」と「海上護衛隊(補給部隊の護衛やシーレーン確保を任務にする後方部隊だが、極端な言い方をすれば実体は無いに等しかった)」の関係に言及されているのが特徴的かな、と。


この本には出てこないけど、戦争末期の「一撃講和論(全面降伏だと何されるか不安なので、どこかで大きな一勝をあげて相手をひるませ、そこで手打ちに持ち込みたい−後付で見る限り、なんて都合のいい、という気はするが−とする考え)」とかと同じで、

元々、帝国陸海軍に国の総合力で戦争を長く継続的に戦う思想が薄くて、「単発の戦場でのタイマン勝負の積み重ね」を戦争と捉えている節があり、「この戦場を担当しているのは海軍(陸軍)で自分たちは言われた通りやればいい」とか、小さな負けがこみだすと、どこかで大勝利を得てチャラにすべく大きな手を張りたがる、とかいった「兵法」学んでるのかこいつら、と言いたくなる戦争行動が各作戦でみられて、

ダメ押しっぽく「海軍は船の中に燃料も食糧も弾薬も自分が必要なものを全部積んで動いているので、陸軍が必要な補給追送の概念に対する理解が足りない」とかいう話が出てくると、さすがに戦死者の6割が餓死という推計もむべなるかな。


以前、

間違ったシステムだと分かっていても玉砕するまでやってしまう(2011/08/15)

でポッドキャストで聴いた話を引用したように、

「やれと言われたことは頑張るが、その『やらないといけないこと』の妥当性に疑問を持つ、見直す機能がなく、責任もとらない」

が、人の命をたくさん投げ捨てた「だけ」のような歴史に結びついている気がします。


個人的には、この本を受けて、

本「補給戦」(2013/06/25)

のような「帝国陸海軍の補給作戦」がどこまで機能したのかをまとめたものが見たくなりましたが、太平洋戦史を比較的短い量で俯瞰できるので、「真珠湾やミッドウエーという言葉くらいなら知ってるけど、全体像はよく知らない」みたいな人にお薦めですかね。




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