いーわん情報源 たまには日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 本「朱元璋 皇帝の貌」

<<   作成日時 : 2014/05/19 22:57   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

フィクション臭の強いものを読むのはかなり久しぶりです。朱元璋と言えば、モンゴルの帝国であった「元」を倒して漢民族の帝国「明」を建国した人物で、托鉢僧(実質的には物乞いと大差ない境遇)から皇帝に上り詰めたという意味で豊臣秀吉を超える立身出世を遂げた男。その天下統一の物語です。


残念ながら朱元璋の物語というのは若干ハッピーエンドと言いかねる部分があって・・・

長江沿いで挙兵して長江流域の上流と下流に割拠する別の軍閥を平らげて統一、その後元が占めている北部に攻め上って、漢民族による中国王朝を打ち立てるのですが、

その明建国後に、それまでの歴戦の功臣たちを猜疑心からほぼ皆殺しにしてしまうという結末が。それは漢の劉邦がやった韓信らの粛清が霞むレベル。漢王朝はこの粛清が原因で王朝が出来てすぐに危機を迎えるのだけど、明も同じような道をたどります。それを越えた先に王朝の黄金時代が来るのが皮肉なんだけど、これはしょうがないのかな。


とはともかく、物語は、「陛下」とあだ名される若き日の朱元璋が、将来重臣になる幼馴染たち(ここに若干フィクションあり。一人は性別が違うし)とともに、反乱軍に身を投じてその中で頭角を現し、一軍を率いて独立。徐々に「自分たちの国」に向かっていく話で、その「陰惨な晩年」にたどりつく遥か以前、「苦しい時代を超えて、ほぼ勝ちが見えてきた状態」までで筆を置く形になっています。この構成はうまい。

でも、その中で、底辺からのし上がったもの特有の上昇志向や下々の人への視線と人心掌握を描く一方、家族以外の他人をあまり信用していない様や上流階級である知識人への憎悪などの「将来の悲劇の伏線」もあるので、「こんな感じの影が将来吹き出すとああなるのかなぁ」みたいな想像が出来て面白いです(ちなみにその賢妻っぷりが繰り返し描写される奥方の死後に悲劇が起きるのだが、小説中でも奥さんのとりなしによって悲劇への道が当面避けられる描写があったりしてなかなか巧み)。


面白いなといえば、その最後のクライマックスである「ハ陽湖の戦い」。火攻めの謀略を立てる劉基の風貌描写といい、川上(風上でもある)に位置する大軍に対し、気象変動をとらえて火攻めして殲滅するその戦況推移といい、「赤壁の戦い」そっくり。


それもそのはずで、明の時代に完成した三国志演義は、もともと同時代の建国の戦いであるこの戦いと伝説的な活躍をする軍師をモデルに、火攻めで曹操軍を打ち破る諸葛孔明像を作り上げた、ということのようで、この小説で本来の描写に立ち返った感じなのでしょうかね。


伝説によるとかなりの悪相だったという朱元璋の「自分の顔コンプレックス」への自らと周囲の感じ方扱い方が、だんだんと変わっていく描写を挟むことで「底辺から権力者へ上り詰めたことで否応なく変わる人の態度」を示した点はすごいな、というところ。スピード感がある小説でした。



朱元璋 皇帝の貌 (講談社文庫)
講談社
2014-01-15
小前 亮

Amazonアソシエイト by 朱元璋 皇帝の貌 (講談社文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
本「朱元璋 皇帝の貌」 いーわん情報源 たまには日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる