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zoom RSS 本「恐るべき旅路 −火星探査機「のぞみ」のたどった12年」

<<   作成日時 : 2014/03/28 23:23   >>

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昨年末にスペースシャトルの本を読んでいたときに、同じ著者が日本の宇宙開発について書いた本がちょうど復刊される運びになったという情報を得て、思わず衝動買いした本。ロケットを打ち上げた!探査機が何した!成功した!失敗した!という話の裏側のことはほとんど知らないので、それを知るには「最終的に目的を達成しなかったプロジェクト」を題材にしたこれはいい本です。

昨年、

本「増補 スペースシャトルの落日(文庫版)」(2013/12/31)

に書いた、

宇宙という人類にとって危険極まりない環境を相手にするに当たって、地球上の理屈で縛りを入れると、問題が生じるということなのかなぁ、と。

は、アメリカのスペースシャトルだけではなく、日本の惑星探査プロジェクトでも同じことだったらしい。


地上の制約は、

・日本国内で、文部省の宇宙科学研究所と宇宙開発事業団という2つの宇宙開発主体が存在し、お互いの持てるものを共有できる体制になかったこと

・出資元であり、利害調整において重要な役割を持つ官僚・政治機構の無理解による制約


具体的には、作れるロケットに載せられる衛星(それも宇宙科学研究所の衛星を宇宙開発事業団のロケットには載せられない)、でしかないうえに、予備機材なしの一発勝負だったり、
官僚、政治家は、普段の宇宙開発には関心も興味も示さず、他の政治的な関心が向けられる問題とのバーターによって宇宙開発の体制が変更されたり規制されたりすることだったり。


もちろん、だから失敗した、ではなく、それらの制約を跳ね返すべく極めて創造的な営みが行われる。

でも、その創造性は、宇宙の謎を解くためにではなく、「謎を解く門口に立つために」発揮される、というところに知的なエネルギーの無駄遣いを感じるのですが・・・

重量の制約の中で最大の成果を上げるため、機材の重量をぎりぎりまでシェイプアップし、一つの機材が様々な機能を兼ねられるようにしていかないといけないこと(欧米の探査機と比べて日本の探査機は極小サイズ)、

相手は宇宙、地球の重力、太陽系の様々な環境なのに、それ以外の制約(打ち上げ可能な時期が非常に短い)も考慮しないといけない打ち上げと飛行コースの計算、


紙幅はこれらの涙ぐましい計算努力を描写していて、その努力に敬服する反面、下手すれば必要なものすら諦めて飛ばさないといけない状況をどうにか出来ないのか、と思わずにはいられなくなります。


また、プロジェクト管理には別の問題があって、公的な役職でない「プロジェクト・マネージャー」の下に行われる特殊なプロジェクト管理−人同士の繋がりでぱぱっと行われる小回りが利くけど大プロジェクト向きではない管理手法−が、大規模化する宇宙開発において限界に達しつつあることも言っていて、

ある意味、ベンチャーがこじんまりした人間が共有する意思の下にやっていたのが、大きくなってそれまでのやり方で運営できなくなっていくのと同じ状況が出現しているようでした。

そこに日本社会の雰囲気としての「自分のせいじゃない」(P205)が絡まったとき・・・ということなのでしょうか。であれば、どの日本の組織にも似たような失敗の危険はあるはず。



最終的に、火星探査機「のぞみ」は火星に到達することなく、火星軌道上に漂うだけの存在になってしまうのですが、

火星探査機「のぞみ」PLANET-B / 科学衛星(ISAS)


確かに、これだけの失敗が、後の「小惑星探査機はやぶさ」にせよ、「臼田のパラボラアンテナの運用」にせよ、活かされていったという「失敗の原因を究明してのちに繋げる」道筋が書かれているので、失敗のリカバリーに興味のある人は読んでみるといいのでは。


上記のJAXAページで読むことができる総括の文章で、

あらゆる事態を想定することは不可能でも、慎重を期したことが逆効果になる場合は、バルブ(弁)のことでもブレーカーのことでも、ありうるのです。

とあるように、「念のために」がいつもいい結果を生むとは限らないという教訓もあるし、


経験は、現実という見世物興業に失敗という入場料を払って、初めて手に入るものだ。(略)
足りない経験を補うべきは深い思慮であったが、思慮に思慮を重ねても、なお及ばぬ領域、経験によってしか到達できない領域は確かに存在した。
(P324)

という基本の心構えがあってこそ失敗も受け止められるし、そこから立ち上がって次に向かえるということなのでしょうかね。




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