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zoom RSS 本「つぎはぎプラネット」

<<   作成日時 : 2013/10/21 22:21   >>

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1001編のショートショート作品(「1001編目」が確か8本−関係各誌に同時掲載だったはず−あるし、カウントの仕方も様々なので生涯作品はもっと多いはず)を残した星新一の、いわゆる「単行本とかの作品集未収録」作品を集めた本。本人としては「没」にしたつもりのものかもしれませんが、思考過程を追う目的としては面白い作品集です。


エッセイなどを読んでいると、星さんの創作において目指しているものに「時間によって古びない作品にする」ことがあるみたいで、

・「特定の名前や苗字」でイメージが邪魔されないようにするために使われる、エヌ氏やエフ博士などの名前

・いつの時代のどこの国、みたいな描写の排除(ロボットがこんなところにまで普及した社会、みたいな文明レベルの描写がある程度)

・流行語を使わず、「ダイヤルを回す(→電話をかける)」のような表現を修正する

とかいったことに心を砕いていたらしいので、題材そのものが時代とともに古びるものは「後世に残す作品」にはしたくなかったのだろうな、というのは推測できます。


で、日本SF史において、黎明期の「企業PR誌の仕事」というのは結構大きな扱いになっていて、

いわゆる「自社製品がたくさん活用される未来像」を描くSFみたいなものが、多くのSF作家によって書かれていて、それは星さんも例外ではない。

でも、それらの作品は、特定の製品と結びついてしまうので、どこかの段階で「古い作品」になってしまう。

それ以外にも、「小学生向け月刊誌用のお話」とか「同人誌、パンフレット向けの小文」、川柳などを集めてあるけど、やはりこの辺は時事的なもの、その当時の技術レベル、当時の風俗(子供たちが空地で野球というシチュエーションが、既に現代では「ふつうではない」)などが反映されてしまうので、やはり読み手が「書かれた時代」のことを知らなくなったら、もうそれは読めたものではない。


だからこそ、「敢えて作品集に載せられなかった作品群」だったのだろうな、というのが読めば分かります。


例えば「ビデオコーダーがいっぱい」。SONYの広報誌掲載、ということでかなりの程度納得のショートショートなのですが、現在のインターネット動画サイトを使って行われていることが、ビデオテープレコーダーと「ビデオの郵送」で行われていて、

よくもまぁ、1965年にそれだけの利用法を創造できたものだ、という気にはなるけど、

今の中学生に面白いショートショートだと思ってもらえるかは疑問。やはり、ここに載せられている作品の大多数は「古臭い」感じがしますね。


また、同じアイデアが、作品集に載っている別の作品に形を変えて取り込まれているものもあったりするので、

この作品集は「星さんの作品なら何でもいいから全部読みたい!」な人だけがターゲットと言えますかね。最後のページに「全作品読了認定書」があるのは、正しいでしょう。


逆に、「なぜ、この作品は『残すに値しない』と本人が判断したのか」を考えながら読むと、作家の思考過程とかが見えてくることもあるので、

純然たるアイデアの面白さのみの作品で勝負しようとした「通常の作品集の作品群」がどれだけの没アイデア、没プロットの上に在るのかが分かって、この1001編はやはり精鋭中の精鋭なのだな、というのを実感できます。この本の役割はそこかな、と。



つぎはぎプラネット (新潮文庫)
新潮社
2013-08-28
星 新一

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