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zoom RSS 本「ヨーロッパ史における戦争」

<<   作成日時 : 2012/12/12 22:32   >>

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別に戦争の歴史は、「兵器の歴史」でも「何と何が戦いどちらが勝った、の歴史」でもなく、「政治体制、政治思想の変遷」、「技術の発展」、「経済、財政の変遷」などが密接に絡み合い、それぞれの時代背景なしに戦争という営みもない、ということを解説する「ヨーロッパの1000年史」の本。EUがどうなるかわからない状況で読んでおくべきかな、ということで入手してみました。

ヨーロッパ史における戦争(中公文庫)


国力が全て戦力に繋がる「総力戦の時代」にいる我々はすぐに忘れてしまうが、別に、「国」は昔からその形の国だったわけではない。

英仏100年戦争が、王家の領土としてはその時々の係累でどうにでもなった「英国」と「フランス」を違う国として分離させ、対ロシア、対フランスのための国力を欲するプロイセンによる小国家の併合があって「ドイツ」という国が出来、という風に、

戦争が、今のヨーロッパの各国を、あの形にしたと言える。

で、その戦争も、「王家が軍隊(騎士とか傭兵とか)を使ってどこかでやっているもの(王が目的を達するか面子を保てば終わる)」から「その国のすべてを注ぎ込み、相手を打ち負かすまで続くもの」に変化していくまでには、いろいろな経緯と、様々なものの開発に因らないといけない。

それを、

1.「騎士の戦争」
2.「傭兵の戦争」
3.「商人の戦争」
4.「職業軍人の戦争」
5.「革命の戦争」
6.「国民の戦争」
7.「技術の戦争」
8.「ヨーロッパ時代の終焉」(2008年追記部分)

と章立てし、それぞれがどんな戦争だったのかを解説したのがこの本。二百数十ページで1000年のヨーロッパ史を語るのですから、個々の「歴史年代記」的な記述は前提知識になってしまいます。

また、「ヨーロッパ史」であるため、歴史的には重要で、戦争としても大変な戦いである、モンゴル軍の東欧侵略、コンスタンチノープル攻防戦、植民地戦争(アメリカ独立戦争など)などのヨーロッパと「ヨーロッパ以外」の戦争はほぼ無視。せいぜい十字軍とレコンキスタが言及される程度。鉄砲導入に伴い戦術に大革命が起きたと(日本人は)習う戦国期日本史などもこの本のスコープ外。−確かに織田信長の戦術は他国の戦争のやり方に何の影響も与えていないわけだし−

ヨーロッパの中での戦争、というものがどのような社会的、経済的背景をもって、どのような戦いを行ってきたのかだけに絞っています。

なので、最後の方、技術革新に追いついてこない艦隊は簡単に殲滅される(対馬沖海戦)や、航空機による戦艦撃沈(太平洋戦争初期の日本軍)、アメリカが核兵器を開発し日本に用いるという風に、「戦争における革新がヨーロッパでない場所で起きる」ことをもって、ヨーロッパによる覇権の時代が終わる(最終章)と説く論法を見て、

歴史と戦争は車の両輪で、どちらかで起きる新しい動きがまた反対側の車輪を回す、と考えているのだな、と。


だから、王様が「自分の家の」利益のためにやっている戦争から、王様が「自国の富」を増やすために戦争をするようになり、王様がいなくなると人民が「愛国心」のために戦うようになる。そこに、兵器の発達が絡んで、素人でも戦える時代と専門家が戦う時代が交互に現れるらせん的なイメージになります。

戦争というものが繰り返されれば繰り返されるほど、ルールが複雑になり、始めたら簡単に済まないものになり、消費される資源が莫大になるにつれ、「問題の解決手段としての戦争」が割に合わなくなり、戦争が起きない状態(ヨーロッパ内部のみ)が生まれる。

ある程度近い価値観(キリスト教文化、西欧文明)の基準の中で、世界を主導する状況にないからこそ、「ヨーロッパ内部の平和」が出来ているのだとすれば、この歴史の推移を「世界レベル」に敷衍できるようになるまでには、まだまだ戦争による犠牲は続くということになるのですかね。




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