いーわん情報源 たまには日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 本「ケルト神話の世界」

<<   作成日時 : 2012/02/16 22:42   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

1987年に出版され、'97年に翻訳されたものが、2011年に文庫化されることで、私の目に触れた本。英国などの原住民で、ノルマン人以降の征服を受けて消えていった民族という認識されている「ケルト人」の持つ神話の代表的ないくつかを読むことができます。

ヨーロッパで神話というとギリシャ神話。それを受け継いでいるローマ人がヨーロッパを征服し、さらにキリスト教を広めてしまったため、ガリア地方やケルトが持っていた神話というものが上書きされているように見えるのだけど、実は、若干の変容をしつつも残っているし、ヨーロッパ人の精神性の無意識層には埋まっているのだ、というのが作者の主張。

ちょうど、冷戦が最終局面に入って、もしかして、今までと違う価値観が必要になるかも、という認識がこの本の出版の背景にあるようですが、

ほとんど全世界規模で従来の価値観が壊れてきているような現状で、原ヨーロッパ人ともいえるケルトの人たちがどんな物語を持っていたかを見てみるのは、

「相手のことをきちんと知るため」に有用なのかも。


文庫で上下巻の2冊から成っていて、上巻は、様々な神の役割、位置づけと、その神々の性格などを物語るエピソードを紹介しつつ、

「最高の神」と「神の中の王」は別の神であってゼウスのような絶対神がいない、という特殊性であるとか、

その神がいつも戦っている「悪」の概念。そして、神だけでは成り立たず、悪の存在を内包してはじめて成立する「宇宙」をどう考えていたのか、といった神話の土台部分の紹介。

下巻は、神話というものが、ドルイド僧という、神官にして武人であったエリート層の思索と修行のために口伝で引き継がれてきたという側面から

ケルト神話によく現れる重要なモチーフ「何かを探索し、得る」が、

どのような形で物語られていて、その残滓が、今も残る物語の中にある、という話を、

アーサー王と円卓の騎士の物語(主に聖杯伝説)と、そこからのスピンオフの扱いとなったトリスタンとイゾルデの物語をひいて紹介しています。


多神で、自然の恵みを受け、様々な能力を誇るが、アイルランドの支配を巡って悪に敗れたり、目的のものを得るための探索において様々なものを失ったり、と、ギリシャ神話と同じく人間くさい。

全能のはずの神の王といえども、奥方に裏切られていたり(後でそれを取り戻すことで国の平穏を回復する)、

それまで大事にしていた宝を失うことによってしか目的のものを手に入れられなかったり、

といったモチーフが主に取り上げられていて、

現代まで残ったケルト神話は、ある種の説話、教訓話の側面が強いのかも、とも思ったり。


一度では理解しきれない(特に、多くの神が複数の名前をもつので、後で物語にその名前を見出したときに、「えーっと、この神はどの神の名前だったっけ」になりがち)から、何度か読み返した方がよさそう・・・と思うのは、ドルイド僧がこれらの神話から「真理」を汲み上げる、一種の「公案」であることとも関係があるのでしょうかね。



ケルト神話の世界(上) (中公文庫)
中央公論新社
2011-08-23
ヤン・ブレキリアン


Amazonアソシエイト by ケルト神話の世界(上) (中公文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ケルト神話の世界(下) (中公文庫)
中央公論新社
2011-08-23
ヤン・ブレキリアン


Amazonアソシエイト by ケルト神話の世界(下) (中公文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
本「ケルト神話の世界」 いーわん情報源 たまには日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる