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zoom RSS 本「名言の正体−大人のやり直し偉人伝」

<<   作成日時 : 2010/11/01 22:34   >>

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いわゆる名言集をたくさん書いていた著者による変化球な一冊。普段使われている名言には、そんなことを言った証拠がないとか、一部だけ取り出されて間違った解釈で広まっているとか言うものがあるそうで、そうした「疑惑の名言」たちを集めた一冊。

よって、章分けは、

1.実際に名言はなされたが、内容が誤解されて伝わっているもの

2.全体の一部だけが取り出されて「名言」として流布してしまったもの

3.誇張または捏造された名言


で、それだけだと面白くないと思ったのか、

4.言行不一致な名言や、本人がその言葉を体言し過ぎてしまった名言

というのも紹介しています。


例えば、1の中でイの一番に出てくるのが、

「天才とは99%の努力と1%のひらめきである」

天才と言えども努力し続けるのが大事、のようにも読み取れるが、

実は「ただの努力」に価値はなく、1%のひらめきを大切にしたときに99%の努力に意味があるという全体の文脈の一部を取り出した名言であるらしい。


2で出てくるのは、

「児孫のために美田を買わず」

別に清廉な心構えとかではなくて、全体を取り出すと、志の達成のためには、自分の持てる全てを投げ打つ覚悟が必要であり、美田を買って残すことを考えるような余裕なんか無い、という激烈な話らしい。


でもって、やはり面白いのは3のカテゴリー

何と言っても、その本人がそんなことは言ったという証拠がどこにも無いのに、何故かその人の発言として流布しているもの。

つまり「その人ならそういう発言をするだろう」と信じられ、

「そういう発言をしたであろうシチュエーションがある」と、

ちょっとした発言が名言化されたり、全く捏造されたりする、という心理が見られて面白いです。


誇張の方だと山登りの名言「そこに山があるからだ」は、
シチュエーション的に「未踏のエベレストがそこにあるから」に近いニュアンスらしいし、

吉田茂の解散総選挙のあだ名として定着した「バカヤロー解散」の「バカヤロー」は、議場で怒鳴りつけたわけでも何でもなく、つぶやいたのがマイクで拾われただけで、さらに本人によって取り消されているため、国会の議事録に残されていない程度の代物だとか、


捏造の方だと、

ソクラテスに「悪法もまた法である」という発言をした記録は無いとか、

「パンが無ければお菓子(原語ではブリオッシュ)を食べればいいじゃない」は、マリーアントワネット以前から存在していた言い回しだったとか、

「生まれてすみません」は太宰の発言ではなく、他人の言葉の盗作、

ワシントンの桜の木の逸話も、元就の三本の矢の逸話も、敵は本能寺にあり、も後世の本が出典で、捏造の可能性が高い

と言った感じ。


他にも、お前が言うな、もしくは、そこまでしなくても、な名言などあわせて、70以上の名言が収録されていて、ちょっとした雑学として役に立ちます。


で、やはり考えさせられるのが、「捏造された名言」。

ある意味、「彼・彼女ならそういうことを言いそうだ、いや言ったに違いない」みたいなものを出典にしているので、偉人に対する集合イメージがバックボーンになっています。

だから、坂本龍馬とかは多分史実よりも司馬遼太郎の小説の人物造型から人間のイメージが作られやすいし、他の人たちもそう。何か大勢に流布するもの(三国志演義とかもそうだろうし、現在作られている歴史ドラマやマンガなどもそうだろう。朝鮮王朝のチャングムなんて、実在の人物としては何者かは全く分からないはずだけど、あのドラマのおかげでもう他の人格にはなりえない気がする)があると、その中で使った台詞が将来の「歴史上の名言」になりかねなかったりするのかな、というのが読後の感想。


でも、そこはやはり「言ったとしても不思議はない人物」というのがないと残らないのでしょう。

例えば、戦後復興期の一万田日銀総裁(市中にお金が無い時期にお金を握っていたその権勢の強さからついたあだ名は”法王”)の「ペンペン草」発言

※川崎製鉄の野心的な新造設備への投資プランに対して、「ぺんぺん草を生やしてやる」と撤回するよう恫喝したとする伝説

本人から聞く限りでは「そんな無理をすると失敗して、ぺんぺん草が生えることになるよ」みたいな発言だったらしいのですが、

やはり、産業復興に当たってどの産業にどれくらいの資金を回すかが、日銀からの資金供給に関する胸先三寸という状況下では、受け取る側にはそう聞こえないのだろうし、他の誰もが「あの日銀総裁の力なら言えるし、言っても不思議はない」と思っているから流布したのでしょう。


面白いのは、ネットに「アインシュタインの予言」とか言うのがあるそうで、

アインシュタインが日本の神秘と精神性を礼賛し、世界の手本になる日が来ると言ったらしい、というのだけど、

どうやってもその出典がたどれないどころか捏造であるらしい、という話になるなど、

今でも「新しい(捏造された)名言」が生まれている模様。


誰かが何かを言った、という話も原典をたどっていかないととんでもない誤解などの元になるのかもね、という勉強になる本でした。




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