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zoom RSS 本「オービタル・クラウド」

<<   作成日時 : 2017/02/09 22:25   >>

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しばらく前に本屋をうろうろしていて、「第35回日本SF大賞、第46回星雲賞日本長篇部門、ベストSF2014国内篇第1位、3冠独占の超話題作」という売り文句に惹かれて手に取った本。SFと言っても舞台の一部に宇宙が出てくるからってだけで、「ふとしたことで巻き込まれた一般人が活躍するスパイアクションもの」だと思ってもらえば間違いない感じでしょうか。


「2020年、流れ星の発生を予測するWebサイト〈メテオ・ニュース〉を運営する木村和海は、イランが打ち上げたロケットブースターの2段目〈サフィール3〉が、大気圏内に落下することなく、逆に高度を上げていることに気づく。シェアオフィス仲間である天才的ITエンジニア沼田明利の協力を得て、〈サフィール3〉のデータを解析する和海は世界を揺るがすスペーステロ計画に巻き込まれて――日本SF大賞受賞の傑作長篇」(書籍紹介より)


そういえば、2020年の東京という舞台なのにオリンピックのオの字も出てこなかったなぁ(事件はクリスマスシーズンなのでとっくにオリンピックが終わっている時期ではある)、とは読み終わった後で思ったけど、もちろん、そんなことは関係ないし、登場人物たちの活動拠点は早い段階で日本国外に移ってしまうので、JAXAに所属していた人物が3名も出てくる割に、せいぜい無力に右往左往する程度にだけ描写される日本政府もこの物語に何も関与しない。


渋谷でWeb制作業をしてるフリーランスの二人の若者が主人公で、資金がある者、機材を持つ者、人材を動員できる組織、変幻自在のスパイなどを仲間に、「どんな国にいる技術者にも、宇宙開発を行うチャンスを与えよ」と主張するテログループ(先進国の宇宙開発独占に反対という意味では「プラネテス」の宇宙防衛戦線的だが、こっちは「自分たちにも果実の分け前をくれ」なので、ある意味植民地競争に後からやってきたドイツ的な立ち位置である)と対決する、という話で、


インターネットの中に張り巡らされるトラップとそれへの対処とか、宇宙テロに対処する対衛星ミサイルとか、
戦う手段が21世紀っぽいという以外は、冷戦時代のスパイ小説的なテイストを感じます。


半世紀ほど前によくあった東西対立の中で起きる陰謀に巻き込まれて解決のために駆けずり回る小説の登場人物たちと同じく、並み居る様々なプロたちの中で一番素人的な立ち位置のカズミとアカリが宇宙技術とサイバー戦争それぞれの役割分担で司令塔役を徹頭徹尾つとめ、大活躍します。何となく「異世界に行って活躍する」系の小説っぽさも。何せ、二人とも頭の回転と手が早過ぎて人間離れしている気すらしますからねぇ。

作中のCIAの人の述懐じゃないけど、「何でこんだけの才能があってWeb屋なんかやってるんだ」という感じ。簡易な解析システム(ハード込)の構築やら、プログラム作成はほぼ一瞬で行われてしまうし、今までの技術体系と異なる発想の宇宙推進システムを初見でさっと理解できてしまうなど、まさに今までが才能の無駄遣いだったとしか言えない人物造形。

世界的な災厄になりかねない入念なテロ計画を数日で破綻させるほどの活躍なのだからそれくらいのスーパーパーソンでないと無理なのは分かっているのだけど。

でもって「日本のビジネス環境」ではできないことが「潤沢な支援がある中で好きに動く」ことで発揮できた、とも言えるので、環境大事って話なのかも。


で、その「環境を与えられてのびのび発揮される(さらに仲間と補い合う)才能」の対決相手になるのが「十分な支援が与えられず疲弊した(ついでに孤立した)才能」。物語の中で敗れ去るものの、本当はオリジナルを生み出したその「影」の人々の方が凄い、ということはラストで言及されるのだけど、成功するのは前者。少々ほろ苦い話でもあります。


舞台が数か国&宇宙空間にまたがって、丁々発止の頭脳戦を繰り広げるエンターティンメント小説に難しい話は要らないとは言えるのだけど、

ちゃんと自分に備わった才能を活かすには、それなりにちゃんと支援を受けられる環境に身を移すことと、自分がそれを利用して「やりたい」、「できる」と思う前向きな意思が必要なんだな、という話がちょこちょこ混ぜられている気がして、(主に若者向け?)応援小説的な側面もあるのかも。

それはそれとして、作中で描写される「リアルタイム地球中継映像」私も観てみたいなぁ。



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