運慶展

仏像の展覧会は多少混雑したとしても、離れたところから展示物を拝観できるので非常に助かります。さらに、最近のトーハクは、週末の夜間拝観が遅くなって、日没後にやってきても3時間は中でゆうゆうと観ていられる。職員の皆さんは大変でしょうが、大変にありがたいことです。

で、運慶・快慶といえば、鎌倉時代に移り変わるころに活躍した仏像作りの専門家。仏師で、有名というとこの2人か、多作であちこちに仏像があることで知られる円空か、という感じですが、教科書のせいで、仏像=東大寺南大門の金剛力士像=運慶という人が作ったがセットになるので、まぁ、「日本一有名」ということになるのでは。

ちなみに、↓だそうで(現在の暦換算でこの日なのだとか)。
ご存知ですか? 9月8日は東大寺南大門・金剛力士像の造立が始まった日です(文春オンライン)


もともとお寺の仏様であって、「誰々作」とかいう美術品ではないので、運慶とその一門がみんなで作成したものを「運慶」の仏像かどうか調べるのは難儀そうですが、記録とか、仏様の中に入れてあるお札に書かれている文章とかでこれは運慶作、これは運慶の父の作品、みたいに特定して分かったものを集めて展示しているという話。

運慶展(公式)

興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」(東京国立博物館ホームページ)

画像


様々な場所にある仏像が一同に会する、というありがたい機会であるのですが、
個人的に、仏像の拝観時に厄介だな、と思っているのは、このように博物館・美術館に飾られた瞬間に「信仰の対象」とは微妙に違う扱いになること。お寺にあれば、手を合わせてお参りするはずのものを、じろじろと眺め、双眼鏡や単眼鏡で細部を覗き、裏側に回って「へぇー」とやる。どうも座りが悪いので、博物館で観るときも、一度は手を合わせてから、と思っているし、実際にそうしているのだけど、今度はそうすると、尊顔をじろじろ観るのにためらいが生じてあまり細かいところまで観ることなく、「これは仏様のこの性質をよく表現している」みたいな点だけ評価して引き下がることに。仏画の時もそうなのだけど、純粋に美術としての鑑賞ができない。まぁ、無理に切り替えることはないのだろうけど。


特別展「運慶」連携 VRセミナー企画「仏像と楽しくつきあう方法」(凸版のセミナー Youtube 所要時間2時間)

をはじめ、仏像展では、どの部分を見るべきかの解説が行われるが、個人的にはあまり細かいことを気にしてもしょうがないかなということで、これは神々しい感じ、悩ましい感じ、何を考えているのか分からない、などと観ているのですが、この展覧会での運慶のものは「力強い感じ」が多めな印象。四天王像のイメージが強いせいだろうけど。今回は、「父の作品」と「息子の作品」も並ぶので、個人差があるのだろうか、というのは興味のあるところ。でも、一連の並びでは、多少の洗練さの違いは感じられるものの、親子で作る仏像は違うものだね、という風にはならず。仏師の個性があるようでなく、それは流派の個性であって、作るのは「筋肉美などを見せるため」ではなく「ありがたい仏様を顕現させるため」だし、流派一門で皆で作成しているのだから、こういう特徴があるのが運慶の真作、ではないのでしょうね。

運慶一門の作品は、物静かな仏様も含めて「無骨な」作りで、内から溢れるエネルギーみたいなものを感じるので、

やはり、博物館であっても、観に行ってお参りして帰ってくる、でいいのかな。

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この記事へのコメント

凛花
2017年11月26日 18:26
いーわんさん

混雑が予想されるので、始まってわりとすぐに見に行きました。
とはいえ、入館までにやはり30分ぐらい並びましたが、一度入ると人の流れがあるので、じっくりと観ることができました。

いつもなら360度から眺めることのない像を、一体一体観ることができ、とてもありがたかったのですが、時に手を合わせてから鑑賞しつつ、やはりいーわんさんと同様なことを考えました(^^; 
老若男女にじろじろ見られている諸仏の気持ちは如何なものかと。 

北円堂特別公開時に伺っても細部まではわからなかった無著・世親像はじめ、諸仏を間近で&遠方からずっと眺めることができて幸せですが、国博だからこそ、このような企画が実現したのでしょうか。仏像さんたちにとってはえらい迷惑だったかもしれませんが。

「怖い絵展」も大混雑が予想されるので割と早い時期に見に行きましたが、こちらは入館50分待ち、入ってからも人の波がすごく、鑑賞が大変でした。最終室に展示された「レディー・ジェーン」が観られたので満足でしたけれど。

私が伺った時はまだ情報公開されていなかったのですが、最新情報によると、来年10月、上野の森にフェルメール8作品が来るとか。時間予約制の展覧会になるとか。
2018年12月03日 20:34
最近は「美術展の混雑に立ち向かう」体力を少し失っているので、もう仏像の展覧会は、「一つ一つ手を合わせて立ち去る」巡礼方式でいいかな、とか思ってたりします。
ミケランジェロ彫刻の肉体美と同じように仏像の肉体表現を見るというのは…と思うのだけど、向こうにも「キリストの十字架像」が裸体表現になるのですよね。で、私はあっちのキリスト像の写真は撮るけど、仏様は若干躊躇するわけで、ただ単に「そういうこと」でしかないわけです。中立は難しい。

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