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zoom RSS 本「アイヌ学入門」

<<   作成日時 : 2016/07/07 22:26   >>

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アイヌといえば、北海道を中心に東北などにも住んでいた列島原住民の一派で、狩猟採集系の暮らしをし、精霊信仰を中心にした独特の宗教体系と一族統治があり、最終的に明治に「和人化」された民族、というざっくりした認識があるかと思うのですが、前に採り上げた「日本人はどこから来たのか」同様、遺跡の発掘や文献整理で、「もっと違う一面もありそうだぞ」ということになっているらしい。


文書記録を連綿と残した人たちではないので、残念ながら、この本で出てくる「アイヌは本当はこんな人たちだったらしい」が完全証明されていないものであるのは、「台湾から舟をこいで海を越えて人々はやってきた」説と同じ。とは言え、世界史を普通に見渡してみて、エコでロハス?な「大人しい民族」が千年も二千年も生き残ったりするとは考えにくい以上、「自然共生で、恵みに感謝して生きてきた」だけではないアイヌの姿があるはず、というのは説得力があります。もともと、和人との間には戦争の歴史もあるしね。


切り口に「縄文、交易、伝説、呪術、疫病、祭祀、黄金」の七つを選び、現代のアイヌの末裔たちの生き様を語る章を付けた8章構成。


何となく、アイヌは北海道の「山の中」にいて、熊とかの狩猟と鮭漁などの川と沿岸での漁業までで賄っているイメージになるのですが、

交易と疫病のところで、「海を行き来する航海民族」としてのアイヌが描写され、

伝説で、アイヌの代表的民話とされる「コロボックル伝説」の意外なお話が、

呪術の章で、アイヌが本州の陰陽道を採りいれた気配を追い、

実は北海道で採れる砂金などを(江戸幕府などは禁止していたが)アイヌも当然持っていて、他民族から隠れる形でそれを保持していたのではないかという仮説も。


少なくとも本州人やオホーツク人(千島方面)、ニヴフ(サハリン)など周辺諸民族と対等に渡り合う蝦夷地独立王国(実際には王家なんかないけど)の民なのだな、というのが分かって、なかなか面白いです。


アイヌもそうなのですが、現在「少数民族」になっている人たちの文化は、どうしても「今は、その民族だけの力で全てを伝承しきれていない」部分もあるために、

アイヌ語なども(日常言語として使われるものとしては)ほぼ消滅寸前、
祭祀には「観光化」などの側面が混ざり、
生活習慣は多数派の(本州人たちの)習俗に浸食され、

そのせいもあって、「アイヌは和人に比べて劣っていた」認識をもたれやすい。

実際には、その民族が自分たちの力でのびのびやっていた時代には、独自の文化などが輝かしく発展するようなことがあったはずで、それには周囲との関わりの中で生み出していったものが多くあるはず。

アイヌは、縄文時代の習俗を1万年間守った「少し閉鎖的で遅れているけど自然体な素朴な人たち」ではなく、時々に周囲の人たちと争ったり、自分たちで版図を拡げたり、物やことや考え方や習慣を「交換」しながら、必要なものを残して自分たちなりの体系を組んでいった人たちだ、というのが分かって面白いです。

ルーツの研究と、アイヌや琉球や内地の人々の歴史をみている限り「日本」の単一性とか言うのが馬鹿馬鹿しくなるのだけど、逆に「縄文文化圏」の範囲と今の「日本国」の範囲はそう大きくずれていないという視点もまた、面白いものです。

材料が四方八方から入ってきて、日本列島という鍋の中のスープとして皆溶かしてしまったのが今の状態。長く煮込み過ぎて一つ一つの素材を分離できない状態になっている、ということなのですかね。




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