いーわん情報源 たまには日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 本「孫子・戦略・クラウゼヴィッツ」

<<   作成日時 : 2016/06/25 22:04   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

なんか三題噺っぽいタイトルの付け方を見て何事、と思った本ですが、語感が「3文字、5文字、7文字」になっているのは狙っているのでしょうねぇ。

それはさておき、「戦争のやり方」を指南する東西の古典「孫子」と「クラウゼヴィッツの戦争論」を、兵士や指揮官でもない我々が読む意味はあるのか、という命題に対する解説書は、あちこちにあります。

○○戦争の戦い方を孫子・クラウゼヴィッツの訓えに照らして分析する、という軍事史、戦略論などの本、

私は自分のビジネスに孫子(クラウゼヴィッツ)をこのように応用した!というどこかの社長とか評論家とかが書く本…


現代では「ビル・ゲイツも参考にした」とかの類で煽られているために、ビジネスにおいて「勝つための秘訣」としての孫子を読みたがる人は多いものの、孫子原文はそれだけ読んでもまぁ、何が何だか分からない(論語の原文だけを読むよりはマシだと思うが)というのが普通の感想で、

例えば、赤子でも知っている(笑)「敵を知り己を知れば百戦危うからず」といえども、

何を知ればいいのかはそこに説明されていない(勝つための要素を解説している別の章などから引っ張って来る読解力が必要……)し、

それにそもそも「2000年前の国家間戦争での勝ち方」であって、応用ができない人には、それをどうやって自分ごとに落とし込めばいいのさ!という話になってしまいます。


今回の本は、その「応用の仕方」を具体例で解説するための手引き本、という位置付けで、孫子や戦争論のこの記述はこういうことを考える際の参考になる・・・ではなくて、逆に、今の社会でのあれこれは、孫子や戦争論のこの記述を当てはめて考えるといい、という解説でしょうか。


個人的に役に立たない例を作ってみるとすれば、

ずいぶん前に読んだ「艦隊これくしょん」のライトノベル戦記にあったこんな描写

数カ月前、木曾が南方のサンタクロース出張所で戦っていた時によく見かけた陣形だ。その時には味方の取った陣形だった。
−戦争ってのは、長くやってると敵も味方も似てくるもんだな。
どちらも、夜の闇を電波の目で駆逐するようになった。
どちらも航空戦力に力を入れてできるだけ遠距離で戦うようになった。
そして、木曽の目の前に見えているものもそうだ。
どちらも輸送船団は潜水艦の襲撃に備えた長方形の陣形を取るようになった。

出典:「艦これ−一航戦出ます!3−」

を読んで、これってクラウゼヴィッツの戦争論で説明している「相互作用」(対決を繰り返す彼我は相手の手を学んで次にやり返すのでどんどん戦い方を新しくしていく必要がある)のことじゃないか!と気づけるようになるのがこの本の効果。

もちろん、この本には、ビジネスの事例、将棋打ち(羽生さんら)の事例で、孫子や戦争論でいうところの何に基づく考え方がその勝敗に反映されているか、というもうちょっとビジネスマン向けの具体例が載っているわけですが。


なので、孫子十三篇や戦争論が章毎にどういう内容で、それを現代的に当てはめるとどうなる、という解説が読みたいのであれば、他をどうぞ、になってしまうのですが、逆に、孫子や戦争論がいいとは聞くが「何で戦争の本が役に立つのか分からん」くらいの方向け入門書、という位置づけになるのかな、と。


以前、何かの講演会で、著者に「論語や孫子などの古典は、何から読むといいのですか?」という質問があった時に、

若いうちは比較的分かりやすい「孫子」、管理職になったら「論語」、年を取ったら「老子」が良いだろう、

という回答をされていたが、「バトルロイヤルにおける生き残り術」を指南する孫子の前に「1対1で何度も対決する関係での勝負への勝ち方」を研究するクラウゼヴィッツがあり、さらに勉強前に読むシラバス的な位置づけでこの本がある、と認識するのがいいのかも。



この本の冒頭に「スペシウム光線を無効化する策を準備した怪獣を倒すためにあれこれ新しい策を練るウルトラマン」という概念はなく、「葵の印籠のごとく誰であろうと全てを吹っ飛ばせる必殺技1本で最初から最後まで戦う」のが日本のヒーローで、ヒーローを研究して弱点を突く攻撃を繰り出してきたりするヴィランとの対決が発生するアメコミのヒーローと違いがあるという話があるのですが、


勝ち名乗りとか、歌舞伎などでの殺陣の後の見栄とか、「勝利した後ポーズを決める」ところに美しさを求める日本は、絶対的な力の差で悪をねじ伏せるために正面から敵を粉砕する勧善懲悪のお話を好んで、「もしその手を使っても勝てなかったらどうしたらいいのか(もしくはこの手では勝てないかもしれないかどうかを検討する)」という思考を発達させるきっかけにならず、

「必死につかみとった勝利の瞬間のカタルシス」に一番の美しさを見るアメリカは、そのタメとしてのヒーローの苦境を演出するために敵と味方の力を拮抗させ、裏の読み合いのような戦いの中で「勝つためには何をしないといけないかを考える」描写を入れることで戦略的なものの考え方への導入を読者に与えられているのかもしれないな、と思った次第。


もっとも、「絶対勝てる状況下でしか戦わない」日本のヒーローは、ある意味では真に孫子を体得した存在なのかもしれないが。




Amazonアソシエイト by 孫子・戦略・クラウゼヴィッツ ―その活用の方程式 (日経ビジネス人文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
本:もう一つの戦略教科書『戦争論』
いきなり「もう一つ」って何じゃい、というタイトルではありますが、これは「孫子」から入る者の視点。クラウゼヴィッツを学ぶと見せかけて孫子を学ぶ本であります。 ...続きを見る
いーわん情報源 たまには日記
2017/10/16 22:35

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
本「孫子・戦略・クラウゼヴィッツ」 いーわん情報源 たまには日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる