「カラヴァッジョ展」に行ってきた

16年のゴールデンウィークは上野公園周辺の展覧会はコンプリートしないといけないのだろうか、という充実ぶりで何にいつ行くか決めるのは大変なのだけど、ちょうど旧友が一緒に行こうというので出かけてきました。

カラヴァッジョ展公式サイト


行くにあたって「カラヴァッジョの絵」というのをたくさん観た記憶がないなぁ、としばらく思っていたのだけど、それもそのはず、本人は38歳で亡くなっていて、その上、殺人事件で逃亡生活をしていたことも影響するのか、真筆が60点ほどしかないのだとか。フェルメールよりは多いけどさ、というレベルなら、そりゃモネとかのようには記憶されないわな。

で、その60点余の現存作品のうち11点をこの地震とかが多い日本に一度に揃えるとか、何をどう頑張れば出来るのかよく分からん。日本とイタリアの国交樹立150年記念ということで外務当局が力を入れたってことなのかね。入口の挨拶文が、普段ならどこかの美術館の館長名義なのに、これに限っては、イタリアと日本のそれぞれの駐在大使というのがいろいろ物語っている気がします。


その中で、「法悦のマグダラのマリア」という絵が、2014年に真筆であると鑑定されて、公には初めて展示される、というのがウリ文句。

画像



なんか、最近も似たようなことがあったような気がするが、隠されてしまいがちな画家なんですかね。とはいえ、日本なら江戸時代の初期にあたる頃に描かれた絵が屋根裏にうち捨ててあっても朽ちないのだからヨーロッパはさすがに乾燥した大地なんだな、とも思うけど。

屋根裏から「カラバッジョ名画」発見 推定150億円の価値 仏(AFPBBニュース)


さて、肝心の展覧会は、なかなかに「黒い」展覧会です。

あちこちの解説にも出てくるのだけど「絵筆よりも剣を握っていた時間の方が長い」とか言われてしまう画家の作品で、8章構成の中に「斬首」なんてテーマがあるくらい荒々しいテーマを選ぶ、というのもあるのだけど、

静物とか肖像のジャンルの絵の多くも背景が黒(で、肝心の人物も黒い服を着ていたりしてさらに真っ黒に)であるし、

「光」がテーマになるところはレンブラント(こっちの方が時代が少しだけ後)と同じで、「どこから光が当たっているか」を示すためにそれ以外の部分を暗くしてしまうので、やはり「黒い中に人物なり出来事が浮かび上がる」構図になって、

展覧会全体のトーンも黒くなるという・・・なんというか、「ヘン!明るい色の絵なんか描いてやるもんか」という厨二病的?もしくは反抗期的な印象を受けるのだけど。同時代の画家が真似するあたり、不良のリーダーとかそんな感じなのでしょうか。

ついでに、「五感」のコーナーにある「トカゲに噛まれた少年」という絵では「噛まれてイテッとやってる瞬間の痛いんだかびっくりしているんだか、反射的に顔をしかめている感じとかいろいろ混ざった表情」が描かれているけど、それについてミケランジェロ(このカラヴァッジョも「ミケランジェロ」だけど、そっちじゃなくて有名な方)が「泣き顔は笑い顔よりも難しい」と言った(うろ覚えなので、この言った人とかの記憶があいまい)のを受けて「俺ならこれくらい複雑な表情も描けるぜ(ドヤ顔)」という意図があったらしいという話があるので、本当にヤンキー気質なのかも。


かと思えば、今回初展示の「マグダラのマリア」について、悔悛した元売春婦をテーマに描いて、つまりは「過去の悪いことを悔い改めてます!」というアピール(死刑判決に関して法王の恩赦をもらいたかったらしい)のための絵だった可能性がある、という解説がついて、観てるこっちがつい吹いてしまうなど、なかなか面白いです。


最後に個人的にツボだったもの。

絵がいくつか並んだあとになぜか定期的に現れる「古い本?」の展示。実は全て「裁判記録」で、何度も逮捕歴があるカラヴァッジョに関して「人物が分かる資料」が基本的にこれしかないのだとか。記録は大事。


もう一つは「絵の横にある解説パネル」のコピーを綴じた小冊子にして、休憩用の座るところに配置してあること。どうしても人混みの激しい展覧会では全部の絵の解説を読むのは大変なので、この配慮はなかなか有難い。読み損ねた分を読んだり、この先の絵の分を予習出来たりするからね。


でも、この展覧会は、外が晴れで頭上に青空が広がる日に行くのがいいかな。


日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展
CARAVAGGIO and His Time: Friends, Rivals and Enemies
会期:2016年3月1日(火)~6月12日(日)
会場:国立西洋美術館
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(毎週金曜日は午後8時まで)





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この記事へのコメント

凛花
2016年05月23日 16:22
いーわんさん

カラヴァッジョの作品を沢山見られてよかったです。堪能しました。解説パネルの件は知らなかったので、教わって得!?しました。
私も、あの分厚い事件の記録帖に目が釘付けになりました。ああやって記録に残っている&こんかいの展覧会で見られたことは貴重ですね。

若冲展はどうされたかなと思っていましたが、無事に見られたようで安心しました。私は初日の午前中に行って40分待ち、グッズ売り場でも1時間以上待ちでしたので、日を追うごとにとんでもないことになるとは…。まぁなんとなく予想はつきましたが。

お互いに生存確認できたということで(笑)、また次回よろしくお願いいたします^^;
凛花
2016年05月23日 16:33
もうすぐ終了してしまいますが、目黒美術館で開催中の髙島野十郎展も、おすすめです。
2016年06月25日 10:17
凛花さん、先日はどもです。
目黒美術館に行こうと思ってもつい寝てしまう、を繰り返した結果、とうとう行き損ねました…残念です。
で、カラヴァッジョは、展覧会の構成が面白かったですね。しかし、殺人犯の展覧会が修好150周年記念という辺りお互い厄介な国であります(笑)
若冲は地獄になる前に何とかしましたが、次は半跏思惟像が2週間限定なので、早いところ上野行かないといけないですね。

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