いーわん情報源 たまには日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 本:【新訳】風姿花伝

<<   作成日時 : 2016/01/11 21:37   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

知人に誘われて靖国神社の薪能を観に行って遠目に舞台を眺めたことがあるのがほぼ唯一の能体験、ということで、経験値は歌舞伎・オペラ以下狂言よりはマシ程度。舞台・演目に関する知識はほぼ無し。ということで、手を出しにくい本ではあったのですが、その秘伝中の秘伝を、正当な相伝者の解説付きで読むことが出来るありがたい機会があったので乗ってみました。


私のような「よく知らないのだけど能って何」な人向けにも、能についての丁寧な情報発信が行われていて、

the能ドットコム:「能」入門・解説・資料など能楽の総合情報サイト

英語バージョンも存在する↑などはなかなか面白いのですが、いつか「このサイト面白い」という話をしていたら、大先輩から「ぜひ、風姿花伝を読むべし」という示唆をいただいて、早速注文したのがこの本。


単純に原典と現代語訳というものなら何種類も出版されているどころか、

現代語訳『風姿花伝』〜表現哲学詩人谷口江里也翻訳_バックナンバー

ネットで読めたりもするのですが、いきなり読んでも能に関する背景知識なしでは挫折するのは目に見えているので、当代の宗家が抜粋しながら解説してくれるこの本で、先ずはとっかかりを得ようと言うわけ。


実際、世阿弥が一座を運営し、他の芸能としのぎを削りつつ自らの舞台を作り上げ、後に引き継がれる基礎を作っていった歴史を軽く紹介しつつ、その歴史背景のどういったことを基に風姿花伝中の言葉たちが紡がれていったのか、を説明してくれるので、能初心者が読む風姿花伝としては非常にありがたい構成になっていて、

「初心忘るべからず」などの有名な言葉の出典らしいのだけど、室町時代の古典だし、とても難しそう・・・な人にはとてもいい本でした。


その「初心忘るべからず」、

立志の想いを忘れずに、その志を果たせるように努力を続けるべし、的な理解をしていたわけですが、

この本によると、なんと初心には3種類があり、

「是非の初心」・・・自分が最初に行ったときの「無様な私」を覚えていろということ。初めてやったときはあんな風だったが、今ではこんなに出来るようになったとか、初めてやったときよりも酷い出来とか、それは「のちの自分はそれに比べて上手になったか下手になったかの基準点になる」ので大事になる。

「時々の初心」・・・下っ端だったときの自分の振る舞い、中堅になったときの自分の動き方、トップになったときの身の処し方など、自分の年齢や立場が変化する度に、その時々にどんな風にやっていたのか、を覚えておけということ。例えば、自分が年齢を重ねトップになったときにも、新人だったときの自分の動きや心情を覚えていれば、また自分が「新人」扱いされる環境に移っても、それを思い出して適応できるが、そうでないと、「今やっていたことならできるが、昔出来ていたことはすっかり出来なくなっている」自分に気づくことになる。

「老後の初心」・・・いよいよ自分が衰え始めたときに、「どのように出来なくなったか」を把握すべき、ということ。かつてはあんなに容易だったことが出来なくなったとき、「出来ていたことの何が出来なくなったのか」をきちんと分析すれば、「今の自分に出来る範囲でどう修正したら無様にならないか、新たな境地を見つけ出せるか」へのヒントが導けるという。

ということで、高い志どころか、この「初めての未熟さ」を思い返しては「今を精進する糧にせよ」、という意味だったらしい。



もう一つ、「秘すれば花」、

手のうちを全て見せないことで、相手から向けられた関心を逃がさない、みたいな「チラ見せの効用」とか思っていたりもしたのですが、


勝利(他の一座との芸事勝負において一番のウケを取る)のためには、観客に「先が読めない」新鮮な感動を与えることが肝要で、そのために「次は何をやるんだろう、どうなるのかな」という期待を煽れるように、毎回毎回その場にあった計算をして臨め、

という話だったらしい。

そのうえ、ここには「男時、女時」という、「流れが自分にあって攻勢に出るべき瞬間」と「今は耐えしのぶべき瞬間」を指す概念が出てきて、演じている今の自分がどっちの段階にいるかを理解したうえで、その「男時」が自分に来た!というタイミングで臨機応変に「花(観客の感動ポイントを指す抽象概念)」を繰り出して、観客の喝采を浴び、相手との勝負に勝利せよ、

という「不敗の態勢から相手の隙を見逃さず奇策をもって一気に勝て」という孫子ドクトリンが乗り移ったかと思わせる戦略が開陳されるに至って、「なんとここはプレゼンテーションを上手く魅せるコツだったのか!」という驚きが。


自らの技を磨いて、それを提供して人様に喜んでもらう、という使命を持つものは誰であれ、

先ず、自分の力量と発揮すべき場を知り、相手の望むものを測りそれを叶えたうえで新鮮さを感じさせられるようになれ。
ただし、対するは「相手の望むもの」というその時々で変化するものであるため、誰も永遠に究極の境地にたどり着けずに次の世代に引き継いでいくことになる運命を、承知してなお努力を怠らないでいられるものでないと一流にはなれない。

というのが世阿弥の訓えだったらしい。

次は全文読んでみることになるのだろうか。何遍読めば多少は意味が分かるようになるかな。何せ、

足りないものを埋めていく。だから人生は面白い
ジャパネットたかた創業者・田明×AKB48総監督・高橋みなみ 特別対談(2)
(日経ビジネス)

で、風姿花伝を語った高田会長が「20回読まないと分からないかも」と言ってたしな。気長にいきましょう。



[新訳]風姿花伝
PHP研究所
世阿弥

Amazonアソシエイト by [新訳]風姿花伝 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
本:【新訳】風姿花伝 いーわん情報源 たまには日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる