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zoom RSS 本「兵器と戦術の日本史」

<<   作成日時 : 2014/08/10 20:58   >>

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同じシリーズの世界史バージョン(未読)と続けて最近文庫になっていたのを購入したのですが、1982年の本だったらしい。陸上自衛隊の幹部向けに日本の内戦(蝦夷征服や南北朝期、戦国期の戦い、江戸末期から明治期の内戦など)と対外戦争(任那を巡る戦い、元寇、倭寇、文禄慶長の役など)の経緯を、両軍の兵器や戦術の違いが戦争の結末にもたらした影響をまとめて説いた本になります。


基本的に、戦争というのは、その「戦場」に、戦闘のためのリソースを多く投入できた側が優位に立ち、勝利する。

これは大兵力で敵を覆滅しないと勝てない、という意味ではなくて、


少数の側が兵力の集中運用を行い、相手側の急所・中枢を倒すことで組織的抵抗力を失わせる、でもいいし、

兵力に対して広がり過ぎた戦線でも相互によく連絡が取れていればタイミングよく掩護して守り通せることもある、

新兵器、新戦術を用いて相手方を「慣れない場所」で戦わせて破る、

といった話になる。



でもって、敗れる側には、

遠方の「司令部」の命令に前線が服しているために(お伺いを立てるのに時間がかかり)臨機応変の対応が出来ない(対朝鮮半島戦争を指揮する北九州の司令部、など実例多数)、

もしくは、遠方からの「前線の状況を無視した命令」に従った結果、状況を無視した前進攻撃などの非合理的な作戦を遂行している(東北での蝦夷征服作戦に京都から行われる指揮命令)、

地の利を得ていない、慣れない戦術を採用して戦わないといけない状況下にいる
(赤壁の例を引くまでもなく、騎馬軍団を中心にする木曾義仲勢が、水上戦で平家と戦ってもよほどのことがないと勝てないわな・・・)、

自分たちが勝った理由を正確に理解していないまま次の戦いに臨む結果、実態にそぐわない戦術を採ってしまう(神出鬼没の山岳ゲリラ戦で勝利していた楠部隊を、湊川での正規軍同士の正面激突に使っても活かせないでしょう)、

などといった話があり、


矛に剣が取って代わり、弓矢が出てきて、弩なども使われるが日本刀になっていき、鉄砲が入り、大砲、西洋式軍備の導入へと続く「攻撃力」

一般兵は甲冑なしの時代から、矢を防ぐ盾、刀槍の攻撃を防ぐ鎧、鉄砲攻撃への対処が考案され、根拠地を守る櫓や防護柵、城塞に至る「防御力」、

東北の馬を得て歩兵が騎兵になり、海上移動のための小舟が大型船になり、水上戦に耐えるために船に防御力や攻撃力が付され、とする「移動力」、

の違いが、それぞれの戦いの結果にどう影響したかを説明しています。


ただ、最初に書いたとおり1982年の本(書かれたのはそれよりも前ということ)であるため、新史料が出てきて戦争経緯の解釈が今となっては何か変化してしまっている可能性についてはよく分からないのですが。


個人的に目についたのは、

指揮官・戦争指導部の作戦ミス、戦略・戦術レベルでの情勢判断ミス、採用している戦法が古い、などの理由で劣勢になる可能性があったのに、偶然の経緯(例えば元寇における台風、会津攻防戦での命令違反の母成峠攻略)で勝ちを拾ってしまった結果、

その「間違ったやり方を反省する機会を失い」、次の敗北の遠因になっていたりする、という話が、あちこちの時代で出てくる点。

日本の歴史では、過去の失敗に学ぶ(失敗に至った原因を追求して再び繰り返さないようにする)ことが少ないけど、

過去の成功に学ば(何をどうしたから勝利・成功を収めたのだから、この体験はある状況下では再現可能だけど他の状況では無理とか、実は「そのやり方では勝てないので、勝ちは勝ちだけど、自分たちのやり方は見直さないといけない」と反省する)ないことも普通なんだな、と。


歴史に学ぶって大変に難しい。



兵器と戦術の日本史 (中公文庫)
中央公論新社
2014-03-20
金子 常規

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