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zoom RSS 本「2052 今後40年のグローバル予測」

<<   作成日時 : 2013/02/26 22:12   >>

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私にとって「成長の限界」は、大学時代の課題図書として目の前に現れた本。バブルという浮かれている世の中にあって、「このような成長と繁栄は永遠には続けられない、何らかの対策を打たないまま今の状況を続けると資源の供給が限界に達することによって断ち切られる可能性が高い」というメッセージはかなり厳しいものが。しかし、当時、この本は絶版だったのか入手できなかった(今も所蔵するこの本は先輩から譲り受けたもの)記憶があります。

出版から40年、私が読んでからも20年以上の歳月が過ぎて、あの時に示された限界点(世界の人口増などの「成長のスピード」によってばらつきがあるものの、おおまかに2030〜2060年代)も近づいてきているが、「成長をコントロールし、人類がある程度の文明を維持したまま生活し続ける」ことができるようにしようとする動きは別に生まれなかった。もちろん、自分もほぼ何もしていません。

そして、残念ながら、今でも世界統一政府があるわけでもなく、宇宙から資源を引っ張ってきて地球上の資源不足を解消できるようにしたわけでもなく、ただ、「石油も何もまだ枯渇していないし、新しい燃料資源なども見つかってきている、大丈夫大丈夫。それに自分はもっと良い暮らしがしたい(レベルが下がるのは論外として、上がらないことが明確になるのも嫌)」という先進国とその住民たち(もちろん自分を含む)がいて、「自分たちはこれまで貧しく、これまでの浪費のツケで自分たちが豊かになれないのを我慢しろなどという話を聞けるわけがない」という発展途上国とその民衆がいる状況で、何も決まらないまま、様々な資源の消費ペースが上がっていくので、いずれは本当に「成長の限界」ポイントに達することになりそうです。


で、基本的に、この世界は「短期志向」で「視野が狭い」方針で動いているので、「全地球的な視野で長期で懸念される危機」というものを何とかしようとする人は、少なくとも政策決定に反映できるレベルでは誰もいない。

よって、このままの状況を継続した挙句、よりはっきりした「崩壊の兆候」が現れ、そうした危機と闘いながら生活していかないといけなくなって初めて何とかする努力を始めるだろう、

では、その兆候は、いったいどんな形で現れてくるか、その時、世界はどのような状況になっているのか、のシナリオを多岐に渡って示しているのがこの本ということになります。


地球全体を俯瞰したときのポイントは、

中国やインド、ブラジルなどの人口の多い国が成長して、より多くの資源を消費するようになった場合に、水資源にせよ食糧にせよ工業原料にせよ、地球はそれを支えられない。

それでも消費を満たそうとして無理して生産する(実は現時点の世界で既にその「無理」をしている状態になっている)ことで、緑が失われ、生物が絶滅して生態系が破壊され、汚染からの自然回復力が失われる。

結果、温暖化等の状況が発生することで、気象擾乱(大ハリケーンや異常高温、寒波など)が常態化し、海面上昇がおき、災害に弱い低地帯などが「居住適地」でなくなる(国土が失われる地域も出てくる)。

また、自然に任せていたもの(清浄な空気や水、廃棄物の処理など)を工業的に処理しないといけなくなったり、上記の災害などへの対応に社会資本を使わないといけなくなるので、生産的なことに使える資本が減少、成長に繋がらない活動が増える。

右肩上がりが望めない世界で生じる「パイの配分」の問題や、災害のせいなどで生じる治安の悪化が、さらに「成長に対する負のフィードバック」になる。


それをマクロとして、米国、米国以外のいわゆる「先進諸国」、中国、中国以外の発展途上(たとえばBRICS)国、それ以外(の貧困国)に細分化して、それぞれの国がどのような経緯をたどりそうかというミクロの予測も行っているといったところでしょうか。

ちなみに、このミクロ予測のシートは著者のサイト

2052 by J Randers

からもダウンロード(Excelのシートで1MBほどのファイル)出来るし、著者自身がまとめた本のサマリー(1ページでとか、5000語でとか、いろいろ用意されている)も入手できます。


本の半分くらいはその未来予測。生態系はどのようになっているか、世界人口の大半が「都市に住む」状況とはどんな感じなのか、異常気象はどんなレベルなのか、エネルギー政策や、食糧の調達(農業生産や、畜産・漁業など)はどのようになっているのか、我々がツケを負わせた未来世代は大人しく「老人になった我々のために借金を負担してくれているのか」・・・

限界があちこちにあって「やりたいことができない」世界では、きっと「公益のために個人の自由が制限されるのは当たり前」になっているはずで、

2012年の私の視点からは、周辺環境が悪化しているうえに、今ある自由が失われている「暗い未来世界」像ではあるが、データや予測の理論的な裏付けから見て、蓋然性は高そうだな、という印象。仮にこの本で大きく取り上げられる地球温暖化と海面上昇が、地球の寒冷化で相殺されたとしても、「生産可能な余力」不足はどうにもできないから、生態系が破壊されて食糧として食べることができるものの種類が減っている、などの問題はあるのでしょうね。マグロはともかくウナギはいなくなっているかな。


という世界に、子孫を住まわせないために読者が一歩を踏み出すことが著者に期待されているのですが、逆に、ある程度「そうした世界になってしまう」ことを前提にして、その世界で多少はマシな居場所を確保するための「20の個人的アドバイス」もあったりして、これを読んでどう活かすかは人それぞれ、ということになりそう。


「自由を制限して秩序を」という本の解説を、新自由主義者と言われる竹中平蔵氏に書かせるのか!という気もしたけど、危機を避けるためにこの本が提言しているのは、ある種のノブレスオブリージュ的な背景を持つ長期的な視野での統治を行う政府を作ることだから、そんなにおかしな人選でもないのかな?


なお、その「解説全文」はこの連載の第1回と第2回に掲載され、第3回からは本のサマリー紹介が続いています。

【2052年からの警告】点滅し始めた「崩壊」のシグナル 「地球社会への最終警告書」を読み解く(第1回)

【2052年からの警告】「悲観的な未来」は我々の行動で変えられる 「地球社会への最終警告書」を読み解く(第2回)

【2052年からの警告】人類を待ち受ける「暗くて不愉快な未来」 「地球社会への最終警告書」を読み解く(第3回)

【2052年からの警告】30年先の恩恵のため犠牲を払う覚悟があるか? 「地球社会への最終警告書」を読み解く(第4回)

【2052年からの警告】「不愉快な未来」を回避する4つの行動 「地球社会への最終警告書」を読み解く(最終回)




2052 ~今後40年のグローバル予測
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本「文明崩壊」
昨年、「銃・病原菌・鉄」を読んだときに、何人かから「次の『文明崩壊』も面白いからぜひ」と言われてて、春に新刊も出たので、そろそろ読まなくてはと思って買ってきた本。先に、「2052」とかも読んでいるので、ちょうどシンクロしている感じになっています。 ...続きを見る
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