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zoom RSS 本「それからの三国志」

<<   作成日時 : 2012/07/16 21:34   >>

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三国志といえば、西暦180年から100年くらい続く戦乱の世に関する歴史書。通常は、劉備と関羽、張飛による桃園の契りから諸葛孔明が五丈原に没するまでの物語(三国志演義)ですが、本当は三国志演義だって、孔明没後50年の「呉滅亡」まで扱われています。

で、普段の三国志物語が扱わない、孔明が没し(234年)た後、蜀が衰退し、滅亡(263年)するまでを、

蜀の後をついだ姜維の奮闘と、その蜀を滅ぼすことになる司馬氏一族がいかにして魏を牛耳っていったか、を中心に描いたのが本書です。


著者の内田さんがこの本を最初に自費出版で出したのが昭和54年ということで、まだ、バブルも始まっていない時期。なぜ、この時期に関心を持ち、膨大な文献を調べたのかはうかがい知れないものがありますが、

今となっては、「受け継ぐもの」姜維が、巨大な隣国との軋轢の中で、そして、昔と違ってしまった文化・風俗・体制の中で、いかに「過去の遺産」を守ろうとするかを通して、
「いかに晩節を全うするか」を考える物語なのかもしれません。


文庫は2巻組。上は烈風の巻、下は陽炎の巻。

昔、吉川英治の「三国志」で、筆を置く前の余話の扱いでこの時期を30ページほど書いて片づけたとき。

「死してなお死せざる孔明」の守りが保ったのが30年間だった

という類のことを書いていたのですが、これは正しい認識なのかも。


孔明という大黒柱を失って、それよりも小粒な人物たちである後継者群が、それまでの訓えを守って、でも段々とジリ貧になっていく経緯をどう捉えるか、

単純に何倍も差のある国力のみでとらえず、


国家の指導者層であった「豪傑」「軍師」の消滅と

その子弟たちの「貴族化」and/or「官僚化」

「貴族」たちの支持がなければ皇帝といえども何もできない時代の到来、

そして変わっていく時代に乗って変わっていった魏と呉、

ある意味孔明のせいで変わることを拒否した蜀、


同じ「三国時代」ではあるけど、それまでの「傑出した個人によって状況がひっくり返せる」時代が終わって、「組織力によって勝負する」時代に状況が移行していて、

人材に厚みがあり、役割分担が明確になっていた方が最終的に勝利をおさめた、

と見るのがいいのかな、と。


力及ばぬまでも受け継いだものを守ろうと必死に活動する姜維の美学を、

亡国に追いやった猪突猛進と見るか、
最後まで訓えに殉じた忠勇と見るか、

微妙なところではあるけど、

どのように国が崩れていくのか、海外勢力とのバランスがどのように変化していくのか、
それをどう見極めて行動しようとしたのか、また、姜維とともにいた僚将たちのそれぞれの処し方はどうだったのか、

「下り坂の時代のリーダー」を見ることはできるけど、その意味では、敗北の美学。

雪が溶けるように消滅した呉と違って、最後まで逆転を諦めず「蜀漢」として滅びた点では物語にはなるけど、

「撤退戦の中で士気を保ち、目標へ向かおうとする組織の姿勢を維持する」にはどうしたらいいか、以外はあまりリーダー論としては役に立たないのではないかなぁ。その点で、ビジネス書みたいな売り方をしているのはどうかと思うのだけど・・・


前半の英雄豪傑参謀たちが自らの能力の限りを尽くして暴れまわる第一世代と違って、世代を重ねるとやり方も変わる、小粒になる、そして、古いものに固執していると失敗する、といったところは、いつまでもロマンを追ってはいかん、みたいな感じもさせるのだけど・・・

歴史に「もしも」はなく、そして、歴史は流れ去って終わることがない。これだけが正しいことなのでしょうかね。



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本:「三国志」の政治と思想 史実の英雄たち
簡単に言ってしまうと「三国時代、魏・呉・蜀の統治機構はどのようなものだったのか」、君主の下にいた文官(行政官や軍師・参謀を担った人たち)はどのような人たちで、どんな国家運営を行っていたのかを解説した本です。 ...続きを見る
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