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zoom RSS 本「孔子伝」

<<   作成日時 : 2012/01/07 23:00   >>

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古代の漢字研究で多大の業績を残された白川静先生が、孔子に関する本を書かれた場合、何を取り上げるのだろう、という興味から手にとった本。普通、本のタイトルに「論語」を入れてきそうなものなのに、「孔子」の方が入っているのはなぜかと思ったのですが・・・確かにこの本は「論語の本」ではなく「孔子の本」でした。

さて、実は孔子の伝記というのはある程度決まった内容があります。

先日の映画↓でも描かれていた粗筋。

映画「孔子の教え」


魯の国の武人の子どもで、幼い頃から勉学に励み、壮年期に魯の国で抜擢されて政務に携わり、内政・外交で成果も上げるが、性急な改革が不和を招いて最終的に亡命する羽目に。その苦しい旅の中における孔子と弟子たちの問答から論語が誕生。最後は祖国に帰って歴史書の「春秋」を編纂し、生涯を閉じた。


さて、これはどこまで真実なのか。

「論語」としてまとめられた書物の中に書かれた孔子の言葉、弟子の言葉は、全て実際にあった会話なのか、どこまでが真実で、どれが創作なのか。創作があるとすれば、誰が何の目的で作ったのか。

様々な記述の原典を探し、元となった資料が何であったかを推測して、孔子とその教えが「後世に大きな影響を与える『儒教』」に至った経緯を研究した結果を記した本です。

父親とされる武人は、本当に父か。

外交の一大成果とされる「斉との外交(峡谷の会−実際には山編は無い−)」の活躍は実際にあったのか。

老子との対話という逸話は事実か。

そして、どのような亡命生活だったのか。


弟子たちの年齢構成や、その対話が行われた時の状況まで明らかにして、「その状況に照らしてこの会話は不自然である(有り得ない)」などといった結論が導かれたりします。

老子という人物は実在しない可能性もあるが、少なくとも道教は孔子よりも後代に成立した教えであると思われること、

「墨子」による儒教批判への対抗から、孔子の教えが「儒教化」したといってもよさそうなこと、

孔子のどの弟子の系譜に属していたかで、教えの解釈に関する分派が起きており、それぞれの派が自説の優位性を保つために、孔子との弟子(もしくは弟子同士)の対話を創作した可能性も考えられること、

などなど、ちょっと驚く話が出てきます。

まぁ、確かに、論語を読んでいると、「弟子同士はほぼ同年代の同じ立場(子路と顔回の2大弟子は別格として)」な気がしてくるので、初期の弟子と末期の弟子なら相当年齢が離れることとか、「そういわれてみれば」な部分もあるのですが。


というわけで、論語の言葉や解釈を学びたい人にはオススメできないけど、

ある一人の思索家とその弟子の彷徨が、様々な時代背景と人々による「利用」によって「宗教」へと変貌していく様を読んでみたい方には面白いのではないかと(もちろん、推論は論理的に構成されているけど、完全な証明が難しい部分を含む推論なので、ここに書かれていることが全て真実かどうかはよく分からないわけだけど)。


ところで、解説にこんなことが。

白川静先生は、ほんらい中国古代文学の研究を目的としておられる。そしてまた、その成果に基づいて、日本の記紀万葉の研究を行うことを希望しておられる。
ところが、学問に対して厳密な先生は、中国古代文学を研究するためには中国古代社会の十分な理解が必要であり、そのためには、中国古代の諸文献の確かな解読が必要となると考えられた。

中国古代の諸文献ーそれはほんらいは銅器に鋳こまれた文字(金文)や、亀の甲に刻まれた文字(甲骨文)で書かれている。その研究を行うという抜本的な構想である。



つまり、本来の目的に達するはるか以前のところで大きな業績を挙げてしまったのか!本人は相当「自分の時間が足りない」と思っておられたのだろうなぁ。


孔子伝 (中公文庫BIBLIO)
中央公論新社
白川 静

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