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zoom RSS 本「日本占領史1945-1952 東京・ワシントン・沖縄」&「終戦後史 1945-1955」

<<   作成日時 : 2017/06/27 22:37   >>

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今上天皇の退位により平成の終わりが見えてきたため、昭和時代が「2つ前の御世」、「昭和は遠くなりにけり」となりつつあるなか、「多少は離れた目からの『歴史』化作業」が始まっているということなのかな、とは思うが、実際「戦前」、「独立後」に比べて、「占領下」の歴史はあまりまとめられていない印象がある。そもそも日本がアメリカと戦争していたことも知らないという人たちがいるらしいが、「日本全土が外国軍に占領されていた」ことなんざ、日本は素晴らしい、のプライドのためにも知りたくないのでしょうかね。

かたや中公新書、また一つは講談社現代選書であり、著者も違うので、当然同じ時代の何について語るかの切り口は異なるが、立て続けにそういう本が出てきたのは、戦前派、戦中派どころか、戦後第一世代もそろそろ鬼籍に入りつつある今のうちにまとめておかないと、ということもあるのでしょうか。


でもって、
占領史の方の作者が「戦後日本の政党政治」を、終戦後史の作者が「日本政治外交史」をそれぞれ主研究分野にしているので、

通史っぽいタイトルではあるものの、どちらにも「経済史(つまりは、安本体制・ハイパーインフレーション、焼け野原からの工場再建などの経済復興)」はあまり出てきません。いわゆる「焼け野原からの出発で国民は大変だったが、ドッジの改革が復興を折りかねなかったところに運よく朝鮮戦争特需が来て一気に経済成長のテイクオフを図ることができた」で終わりです。

本当は、政党政治史をやるのであれば、

共産主義系の勢力増大で「赤化」が生じる可能性もあった戦後日本がなぜそこまで行かなかったのか、
社会主義政党はなぜ政権をとっても長続きせず手放すことになり、統一社会党ができても万年野党化してしまったのか、

外交史の点でも

アメリカの復興援助の背景にあるもの、
サンフランシスコ講和条約における単独講和or全面講和論争、

などの背景には、周辺諸国家の政治経済体制や日本の経済力・国力の回復度合いも関係してきているはずなのですが・・・実際、あまりこの辺には紙幅を割いていないので、経済の話もあまり必要ないといえるのかも。


占領史の本が特徴的なのは、本土以外に「昭和20年代の沖縄がどういう占領体制下にあったか」に大きくページを割いていること。

もともと本土上陸作戦の策源地にする予定だったので、ゲリラ化しかねない住民を全て「捕虜収容所」に送った結果、住民の85%が収容所に入っている状態(本当に意味で「戦場内で占領した場所を支配する形態」)から戦後が始まったこと、
昼間の自由通行が回復するのに2年、夜間外出が可能になるまで3年もかかっていること、
東京のGHQと連携しない占領体制で沖縄が運営されていたこと、

などなど、なかなか言及されない事柄から、講和条約の結果、沖縄が占領され続け、安保条約で基地化される話への繋がりが出てきます。

あと、ある程度は既出な話ではあるが、いわゆる「戦後占領軍の改革−農地解放など−」は部分的に、戦前の官僚群が計画していた「改革案」を採用しており、占領政策は戦勝国による日本解体の押しつけ、というわけではないことにも言及していますが、

本の多くを占めるのは、ご専門の「政党史」。政治家の離合集散や戦争関係者の追放、政策の考え方への違いによる国家デザインの違いや、GHQの民生局の介入により左右される日本の政治変化の描写になります。



終戦後史のメインテーマは、「直前まで米軍と戦争をしていた国が、急に親米の藩屏国家のような振る舞いをする国に変わったきっかけは占領下のどこにあるのか?」なので、

敗戦時に日本の知識人、政権担当者たち、もしくは占領者たちはどのような「新」日本のグランドデザイン(選択肢)をもっていたか、
から始まって、その後の政治や社会が「どのような日本」を選択していくのか、

という本になっていて、

占領史の方と違い、市井の人である山田風太郎の日記や、農村へ買い出しに出かける街の人への農村側の敵意についての証言などから読み取れる「同時代人の心象風景」への言及が出てきます。

それまでのアジア市場を失い、戦後も政治的な事情でアジア市場への再進出を企図できない日本経済が、自国の内需とアメリカ向け輸出で自分たちの国を建てなおさないといけないこと、
占領軍との関わりでアメリカの消費生活社会を知った日本人の受ける衝撃、テレビや太陽族などが出てくるのは終戦後史側の特徴でしょう。「日本のアメリカ化がどう進行したか」の本です。


占領史が年号と人名と統計数字的な本で、終戦後史の方はもうちょっとふわっとした「雰囲気がどんな風に生まれてきたか」の本、という感じでしょうか。占領史が、占領終了=独立で筆を置くので風俗芸能の新しい動きが出る前に歴史を語り終わってしまうのも影響しているのかもしれませんが。


この2冊と、昭和経済史(私が読んでた有沢広巳著者版も、竹内宏 著の筑摩書房版も、一番最近の中村 隆英著の岩波現代文庫版絶版で困るのだけど)あたりを併読すると、ある程度立体的にこの時代を再構築できる感じですかねぇ。




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