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私の旅行にはパターンがあって、大体行きは目的地に行ったら何をするか考えるためにひたすらガイドブックを読んで計画を立て、帰りは何かの本を読んでいる。今回は、4月の台湾帰りのときに引き続き「空海の風景」下巻にし、やっと読了しました。 もともとは昨年のパーティの二次会で話していた「空海最強ビジネスマン説」のお話。機をみて一気に畳み掛けるような動きや、自分についての評判がある程度高まってから目的に向かって動くような「自分売り込み術」などは現代のビジネスマンにも通じるのではないか、という話をしていた際に、この本はオススメである、と言われたのがきっかけで入手した本です。 高野山の開祖、四国八十八箇所の巡礼を行う人全てに常に同道していると言われる真言密教のお大師様、空海の一生を描いた小説です。とは言え、私には、空海がどんな場面を通り過ぎていったのだったのかを探求する司馬遼太郎さんの「街道を行く」シリーズのようなドキュメンタリーに見えますけどね。 讃岐の幼少の風景、一族の繋がりから始まって、近畿での遍歴を追い、唐に渡って密教を譲られ、日本に戻って真言密教を成立させるまでの一生を、様々な記録から、きっとこんな風景の中で行われたことだったに違いない、という筆法で描いていきます。だから、この小説の主人公は「筆者」で、筆者が霞の向こうに空海が立ち回っている舞台を幻視して、その模様を語っているような感じです。 私の一族は密教系の宗派には属していなかったので、高野山や、四国の巡礼に関わる知識には疎く、また空海の事跡についても、「弘法も筆の誤り」という言葉に代表される名筆家であるとか、土木にも才能があったとか、民間伝承の類をいくつか知るのみだったのですが、この「空海の伝記」で、ある程度のアウトラインを知ることができた、というところでしょうか。そこはさすがに一冊の本に膨大なバックグラウンドになる資料を揃える司馬さんの作品だと思います。 何せ、平城京成立当初の朝廷の動き、密教についての概略説明、最澄が行っていた宗派論争なども背景に入ってくるので、確かに「風景」だなぁ、と。個人的には「密教って何だ」というのにちょこっとだけ触れられた点で、面白かったかな。 でも、筆者が書いているように「空海って本当に運のいい人」。その点では、この小説ではちょっと敵役っぽくなる最澄も「運のいい人」だし、何がしかの業績を歴史に残している人にはすべからくその手の「そのタイミングでそれに当たって、その後のきっかけになるなんて凄い!」という話があるのですが、何度も何度も「あとちょっと遅かったらそうは上手く運ばなかったはず」という話が現れてくると「仏の加護」を信じたくなる感じがしますね。 やるべきことを一生懸命やったことで、ちゃんと次々に道が開けて上手く行った というのが空海の一生だったのでしょうか。 |
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